セルジュ・ルタンスロルフェリン

人気の香りを分析するInstagram(@semiperfumer)も始めました
「ロルフェリン(L’orpheline)」は、“灰の乙女(フランス語で孤児という意味ですが、邦題では灰の乙女)”を象徴するかのような、繊細で儚げなオリエンタル系フレグランスです。インセンスの静謐なスモーキー感を中心に、ムスクのほのかな甘さがまるで薄いヴェールを纏うように香り立ち、ラストにかけてはカストリウムのかすかなアニマリック感が奥行きを添えます。全体としては“冷たさと温もり”が入り混じる独特の陰影が特徴的で、一部の人は「静かでメランコリック」と感じる一方、ほのかな石鹸感やアフターシェーブのイメージを抱く人も存在します。お香のイメージが強いながらも甘さが控えめで、一見近寄りがたい冷ややかさがあるのに、同時に安心感をもたらすという矛盾を内包する香りとも言えます。
香りの構成
- インセンス:透明感のあるスモーキーさが立ち上がり、ややクールな空気を感じさせるのが最初の印象です。灰のように淡い灰色を連想させる穏やかな煙で、重さは控えめながらも神秘的な深みを持ち合わせています。
- ムスク:お香の乾いた煙っぽさを、やわらかい甘さと肌なじみの良さでそっと包み込みます。ときに“石鹸やシェービングクリーム”を思わせる清潔感が顔を出し、冷たい印象の中にも暖かみを感じさせるバランスを形づくります。
- カストリウム:ごくわずかにアニマリックやレザーを想起させる要素が加わり、最後の余韻に陰影と静かな艶をもたらします。わずかな苦みや獣っぽさが、“儚いだけでは終わらない”奥深さを残し、モノクロームの世界に微かな体温を宿すようなイメージです。
おすすめの季節と時間帯
春 夏 秋 冬
日中 夜
男性向け、女性向け
男性 女性
お香や動物的なニュアンスを含むため、一見するとダークで無骨な印象を受けるかもしれません。しかし、実際にはやわらかなムスクの清潔感や繊細なスモーキーさが性別を問わずフィットするユニセックスな香り。クラシカルな“紳士のアフターシェーブ”のように感じる人もいれば、“儚い少女の灰色のドレス”を想起する人もいるなど、装いによって多彩な表情を引き出す柔軟性があります。
属性
フレグランスホイールとは?分類
- アンバー系・・・ソフトアンバー
お香をメインとしつつ、ムスクやアニマリックな要素が織りなす“穏やかなアンバー感”が基本軸。
補足分類(18の属性からの分類)
- アンバリー
- オリエンタル
- パウダリー
- ムスキー
- レザー
インセンスの穏やかな煙がオリエンタルな深みを強調し(アンバリー, オリエンタル)、ムスクの柔らかい甘さが香り全体をパウダリーに包み込み(ムスキー, パウダリー)、カストリウムが微かなレザーノートに近いアニマリックな陰影を付与して単なる優しさに留まらない奥行きを演出します。
持続時間
オードパルファム
- 香料の濃度・・・約8~15%
- 持続時間・・・約5~6時間
ロルフェリンの香りが似合うイメージ・人物

暮れゆく図書室で“静寂の黄昏”を愛する読書家
- 20~40代男女問わず。夕方になると歴史ある図書室を訪れ、本のページをめくりながら心を落ち着ける。
- 黒やグレーの落ち着いたファッションが多く、自然に“陰影”を感じさせる装いを好む。
- 自らを強く主張することは少ないが、観察眼が鋭く、静かな瞑想を好むタイプ。
霧の立ち込める街角で“モノクロの写真”を撮るアーティスト
- 30代前後の男女問わず。薄暗く煙る街を歩き、古いカメラで白黒の写真を撮影する。
- コンクリートの冷たさや人々の無機質な動きを、切り取る形で“芸術”として昇華。
- 都会的でシャープなコーデを好みながら、繊細な感情表現を大切にしている。
月夜の寺院で祈りを捧げる「静寂の修道士」
- 20~50代男性。夜の寺院の薄暗いろうそく灯りの下、ひとり瞑想の時間を大切にする。
- 目立つファッションは好まず、修道衣やシンプルなストールなど実用性を重視。
- 「何も足さず、何も引かず」の精神を守り、香りも“静かに心を整えるもの”を求めている。
前衛舞踏の衣装デザイナー「灰色のドレスで魅せる舞台人」
- 20~40代女性。独特なコンテンポラリーダンスの衣装を手がけ、灰色やシルバーを用いて無機質な美しさを演出。
- 移ろいやすい感情表現と身体表現に興味を持ち、自身も舞台で動きをチェックするなど身体性を重視する。
- 香りは“空気の張り詰めたステージ”を想起させる神秘感と、わずかな甘さで観客を惹きつけたいという思いがある。
廃墟ホテルを再生する「ノスタルジア建築プランナー」
- 30代男女問わず。昔の高級ホテル跡をリノベーションするプロジェクトに携わり、アンティークや歴史的遺産を好む。
- 朽ちた装飾や灰色の壁紙を生かし、新しい息吹を吹き込むデザインを考える。
- 香りも“わずかに懐かしく、けれどモダンなシンプルさ”が欲しいと思い探し回っている。
落ち着いたインセンスと控えめな甘みを軸にした香調は、涼しい季節から肌寒い冬に特に映えます。香り自体は強く主張しすぎず、どこか冴えた空気を感じさせるため、日中でも夜でもシーンを問わず溶け込みやすい一方、メランコリックな雰囲気が夜の静かな場面にマッチしやすい側面もあります。つけすぎると重苦しくなるというよりは、自身の周囲を澄んだ空気で満たすような感覚があるため、思考に集中したい時や読書・瞑想のひとときにも向いています。