アンバーってどんな香り?アンバーグリスとの違い等(おすすめの香水も)

「アンバー」という言葉の意味とその香りは別物

↓マッコウクジラの腸内にできる結石。海辺に漂着して非常に高価。

アンバー(amber)の語源は、マッコウクジラの腸内で生じる結石の竜涎香(=元アンバー、現在はアンバーグリス)。

中世にはその語義が広がって琥珀(化石樹脂)も指すようになり、現代の一般語ではアンバーといえば竜涎香(アンバーグリス)ではなく、化石の琥珀を意味します。

ただ、香水の「アンバーの香り」は琥珀そのものの匂いとは別物。用語が混在しやすく、説明が錯綜しがちです。

そこで、アンバーの香りの基準として次の3タイプに整理して覚えておくことをおすすめします。
アンバーの香りの3タイプ
1:王道アンバー(樹脂+バニラ)

甘くて温かい、包み込むようなアンバーノート。
樹脂とバニラの香りを組み合わせてファンタジーな香りとして構築された「アンバー像」で、単一の素材の香りではありません。とりあえずはこれを“アンバー”と考えておけばまず間違いなし。
1900年初頭からアンバーの香りといえばコレ。
2:アンバーグリス風アンバー(海風×肌=ミネラルスキン)

塩気・皮膚感・体温のようなニュアンス。
語源になっているだけで本来の王道アンバーの香りとは別物なのですが、今は同じアンバーファミリーとみなされることも多くなっています。
※ 現在は合成香料が普及しており、天然のアンバーグリスはほぼ使われません。
3:ウッディアンバー(ドライ鉱物×遠達性)

乾いた木質・鉱物感・透明なのに遠くへ伸びるニュアンス。合成香料で表現されます。
※これらは併用されることもしばしば。王道アンバーの懐に、アンバーグリス風の塩気やウッディアンバーの透明感が差し込まれる処方もよく見られます。
どのアンバーなのか、見極める

- 王道アンバー
- 香水名やノートに単独で“アンバー”表記
- ラブダナム / ベンゾイン / バニラ(バニリン)がメイン。ほかにトンカ / ペルーバルサム / オポポナックスが並ぶ。
- アンバーグリス風アンバー
- アンバーグリス / アンブロックス / アンブロキサンといった記載をチェック。
- 「海」「ミネラル」「肌」の語が説明文に登場しやすい。
- ウッディアンバー
- イソ・イー・スーパー(Iso E Super) / ノルリンバノール(Norlimbanol)など合成名がヒント。
- ノートは抽象的なので表には出にくい(解説でイソ・イー・スーパーにはよく言及される)。
使い勝手と季節

- 王道アンバー
- 秋冬に映えるコージーな温感。
- アンバーグリス風アンバー
- 季節・性別問わず使いやすく、オフィス~プライベートまで守備範囲が広い。
- ウッディアンバー
- 季節・性別問わず使いやすく、オフィス~プライベートまで守備範囲が広い。
いずれのアンバーもベースと持続を支える“屋台骨”として処方で重要な役割を担います。
小史:アンバー調の誕生

1870年代の合成バニリン登場で「とろける温かさ」のコントロールが容易に。これが大きな契機になりました。

1905年頃、コティの『アンブル アンティーク』(意味は古代の琥珀)で“王道アンバー調”が確立したとされます。その瓶のデザイン性の高さでも有名な香水です。
ちなみにゲランの『シャリマー』も世界初のアンバー香水を自称していますが、時期的には『アンブル アンティーク』のほうが古いです。香水資料館「オスモテーク」の資料でもアンバーの歴史例としてアンブル アンティークを挙げています。
アンバーの香りを知るのにおすすめ香水(タイプ別)

アンバータイプ | 香水名(ブランド) | 主要ノート/キー分子 | 香りの要点 | 使いどころ(季節/シーン) | メモ |
---|---|---|---|---|---|
王道アンバー | アンブル スルタン(セルジュ・ルタンス / Serge Lutens) | ラブダナム、ベンゾイン、バニラ(+ハーブ/樹脂) | 骨太の樹脂感と甘い温感。クラシックなアンバー像を堪能。 | 秋冬/夜、休日時 | 王道の基準としてまず試したい一本。 |
アンバーグリス風 | バカラ ルージュ 540(メゾン・フランシス・クルジャン) | サフラン、シダー、アンブロックス(アンブロキサン) | ミネラル感がサフランを底上げ。肌の上で“発光”するような透明な甘さ。 | 通年/昼夜問わず、華やぎたい時 | 投射強め。少量からテスト推奨。 |
アンバーグリス × ウッディアンバー | アナザー 13(ル ラボ / Le Labo) | アンブロックス、イソイースーパー、(ムスキーな基調) | 透明感のスキンムスクを支えるアンバー。静かに長く香る。 | 通年/オフィス~オフまで広範 | クリーン志向のアンバー入門に。 |
ウッディアンバー(単分子体験) | モレキュール 01(エセントリック・モレキュールズ) | イソイースーパー単独 | ほの温かいドライウッドの“気配”。香水かどうか迷うほどミニマル。 | 通年/TPOを選ばない | 体質で感じ方に差。肌で必ず試香を。 |
参考:歴史的名香のコティのアンブルアンティークは現在は入手難。アンバー調の源流として名前を知っておくと良いかと思います。
まとめ
- 「アンバー」は言葉の歴史と調香上の用法がズレやすい用語。
- 香水選びでは、王道アンバー/アンバーグリス風/ウッディアンバーの3タイプに切り分けて判断するのが近道。