嗅覚は本能への直行便(5感の中でも特別)・プルースト効果まで

脳には2つの部分がある
脳には呼吸や心拍を司っている脳幹の他に、大きく分けて2つのエリアがあります。

一つが本能、感情、記憶などを司る本能エリア(大脳辺緑系)です。
もう一つが理性、思考、言語などを司る部分、これは本能エリアの周りにあって、人間の進化の過程で発達してきた新しい脳、理性エリア(大脳新皮質)です。
嗅覚だけが本能に直結している
嗅覚以外の視覚・聴覚・触覚・味覚は、まず脳の外側の理性エリアで何を見た 触れたなどを解析します。その解析結果を元に本能エリアで「ドキドキ」「ワクワク」恐怖などの感情が生じるという順序です。

嗅覚は違います。鼻の穴の上側でニオイをキャッチすると その信号はいきなり脳の内側の本能エリアに飛び込みます。快・不快を判断するまでわずか0.2秒です。
嗅覚は考える前に、感じています(正確に言うと、視覚も緊急時には本能経由のルートを取りますが、ここでは省略)。

他の感覚とは順序が逆。本能への直通便です。進化的にも最も古い感覚回路の1つと考えられています。

賞味期限が怪しい食べ物があったら 目で見るだけではなくニオイを嗅いでみますよね?

「もったいないし、まだいけるかな?」と理性では損得を考えてしまうようなことでも、嗅覚だけは本能を優先して判断してくれます。ニオイが変だったら捨てましょう。
プルースト効果 – 香りが記憶を呼び覚ます仕組み
ニオイを嗅いで記憶や感情が一気に呼び起こされた、という経験はありませんか?
この現象はプルーストの小説『失われた時を求めて』の中で、紅茶に付けたマドレーヌの匂いを嗅いで過去を思い出す描写があることから、プルースト効果という名前もついていて、嗅覚の特異性(本能への直通)が関わっています。

本能エリアの中の感情を司る扁桃体という部分の隣には、記憶を司る海馬という部分があります。

扁桃体に渡ったニオイは、本能由来の強い感情と結びついた新鮮な状態で隣の海馬に保管されるので、他の感覚よりも強く思い出として残り続けるのです。

嗅覚なら0.2秒で自分の機嫌がとれる
嗅覚が本能への直行便ということは、この辛い現代社会で考えすぎてしまったり悩みがある状態でも、大好きな香りを嗅げば、強制的に、0.2秒で自分の機嫌を取ることが可能だということです。

イライラしたら好きな香りを思いっきり嗅いでから爆睡すれば大勝利です。

試してみてください。
動画解説はこちらです。