ベルガモットってどんな香り?

ベルガモット

ベルガモットとは

ベルガモットはミカン科の常緑樹。オレンジオレンジとレモンの交配種とされ、主産地はイタリア南部カラブリア州で世界生産量の約80-90 %を占めます。

育てるためには寒暖差と石灰質土壌が必要で、香気成分(主にリモネン、リナリルアセテート)が豊富に含まれています。

果実の味はすっぱいし苦くて食用には殆ど用いられませんが、緑がかった黄色い果皮を圧搾して得た精油は香水で重宝されます。

香りの特徴

角度印象引き立つニュアンス
第一印象きらめくシトラスグリーン、みずみずしさ
中盤わずかなビター感フローラル(ネロリ様)、スパイス
後味軽い甘さと暖かみハーバル、ウッディの橋渡し

甘さ・酸味・ほろ苦さ・花のような丸みが同居する複雑なシトラス。レモンより柔らかく、グレープフルーツより渋みが少ないです。

香水ではトップノートに使われ、清らかに晴れた朝のような物語の始まりの空気感を描き、そこから繋がる他の様々なエッセンスの個性を引き立てる役割も担っています。

アールグレイはベルガモットで香り付けをs

特にお茶系香水ではその役割がわかりやすいです。紅茶のアールグレイは茶葉の名前ではありません。アールグレイはベルガモットの香りを茶葉に付けた紅茶のことです。使う茶葉はメーカーによって異なります。

なので香水でもティーノートと相性が良くなります。アールグレっぽさを出したり、レモンティーのように感じられることもあります。

化学組成と香りの構造

揮発分(約95 %)

  • リモネン : 弾ける柑橘のジューシィさ
  • リナリルアセテート : ベルベットのようなフローラル・甘さ
  • リナロール : ハーバルな透明感
  • γ‑テルピネン/β‑ピネン : みずみずしいグリーン苦味

非揮発分(約5 %)

  • ベルガプテン・ベルガモッティン(フロクマリン):紫外線でDNA付加し光毒性の原因。
  • シトロプテン:苦味やわずかなティー感を付与。

イメージ

レモンより丸い酸味 → オレンジの甘み → 軽いグリーン苦味 → ジャスミン様フローラルがふわりと残り、最後はほんのりウッディ。

香水での役割

  1. トップノートのスパーク:嗅いだ瞬間に清潔感と活力を与え、他の香料へ滑らかにバトンを渡す。ほとんどのオーデコロン系やライトフレグランスで不可欠。
  2. 構造のアンカー
    • シプレ系:ベルガモット+オークモス+ラブダナムの対比で「明るさ↔深み」を作る古典的アコード。
    • フゼア系:ベルガモットがラベンダーとクマリンをつなぎ、シャープさを整える。
  3. ブレンドの潤滑油 :リモネン主体のため揮発が早く、香り立ちを華やかにしつつ後続の花・ウッド・スパイスを邪魔しない。

相性の良い組み合わせ例

ベルガモットを使った香水例
ファミリー効果代表的な香水
コロン系きらめく立ち上がりと瞬発的な清潔感4711(1792)
モダンコロンベルガモットを主役に、ハーバル&ムスクで余韻を延ばすアクアディパルマのベルガモット(2010)
シプレシトラスの光→オークモス・ラブダナムの影をつなぎ“明暗コントラスト”を生成ゲランのミツコ(1919)
フゼアラベンダーの鋭さを丸め、クマリンと橋渡しして“ソーピィ×グリーン”を両立 /ハーブ→ウッディへ向かうグラデーションを潤滑し、“タイムレスに続く爽やかさ”を支えるウビガンのフゼアロワイヤル(1882)/ディオールのオーソバージュ(1966)
モダンティーダージリンやマテの渋味をベルガモットで明るく引き上げ、上品なティーアコードを強調 / アールグレイらしいキレのあるシトラスが、キューカンバーの青い水気をクリスタル状に際立たせるミラーハリスのティートニック(2015) / ジョーマローンのアールグレー & キューカンバー コロン(2022)
ウッディ・アロマティック透き通るシトラスの“光”が、ベチバー/シダーの木質“影”を照らしロングテールを形成ルラボのベルガモット 22 (2006)
アンバー(オリエンタル)華やかなシトラスで重厚なバニラ&アンバーを軽やかに導入し、奥行きある甘さへ接続ゲランのシャリマー(1925)

歴史

長い間目立たない存在だったベルガモットの活躍は 18世紀初頭にドイツの「ケルンの水」の意味を持つオーデコロンという香水のジャンルが誕生したことから始まりました。ベルガモットをはじめとする軽快な香りを纏うことがブームでありマナーになったのです。

オーデコロンを纏う18世紀の貴族

あの皇帝ナポレオンもベルガモットが使われたオーデコロンを一日に何瓶も愛用し、普及したことで知られています。

オーデコロンを纏うナポレオンのイメージ

それから三世紀経ったいまでも 香りの始まりを鮮やかに彩り続けているのがベルガモットです。

まとめ

  1. 香調:レモンの丸さ+オレンジの甘さ+ほろ苦いグリーン+微かな白花。
  2. 役割:トップノートのキラメキと、シプレ/フゼアの核。
  3. 相性:フローラル・ハーブ・ウッド・アンバーと万能。
  4. 代表例:4711、Bergamote 22、Bergamotto di Calabria など。

この記事を参考にすれば、ベルガモットが“ただの柑橘”ではなく、香水に深みと輝きを与える多面的なキー素材であることが理解しやすくなるはずです。