ソバージュ

ソバージュ オードトワレが登場した2015年以降、シリーズは世界的ベストセラーとなりました。 どの濃度でもベルガモット×ラベンダー×ブラックペッパー(またはシチュアンペッパー)にアンブロクサンを重ねた構造が基盤になっており、荒涼とした鉱物質とシャワー後のような清潔感を同時に感じさせます。

バリエーション別香調

  • オードトワレ(2015):トップにカラブリア産ベルガモットとブラックペッパーが金属的に弾け、ドライダウンでアンブロクサンが岩肌のようなミネラル・アンバーを残します。“昼間の太陽を浴びた白Tシャツ”のようにライトで拡散力が高いと評されています。
  • オードパルファン(2018):オードトワレの骨格にシチュアンペッパーとスターアニスを加え、パプア産バニラで甘い厚みを持たせています。 “夜のレザージャケット”を思わせるオリエンタルな包容力で、EDTより丸みを帯びた印象です。
  • パルファン(2019):マンダリンとエレミが導入部を彩り、ハートでサンダルウッドが立ち上がり、ラストでトンカビーンとバニラがレザー調の温かみを添えます。 アンブロクサンは抑えめで、熟成感と深みが強調されています。
  • エリクシール(2021):グレープフルーツを起点に、シナモン・ナツメグ・カルダモンが濃厚に絡み、中央でラベンダーが全体を束ねます。ベースはリコリス、サンダルウッド、ハイチ産ベチバーが闇夜のような深みを演出します。シリーズ中最も高濃度で、“香りのワントーン濃いスーツ”と称される重厚さです。
  • オーフォルト(2024):ディオール初のアルコールフリー・ウォーターベース処方で、乳白色の液体が特徴です。 冷たいスパイス、漂白ラベンダー、ムスキーウッドを組み合わせた“フレッシュ&スパイシー・フゼア”として設計されています。

共通DNAと評価

ラベンダー×ペッパー×アンブロクサンの“トライアド”が長時間の持続性と「獣的なのにソープのようにクリーン」という二面性を実現しています。 一方でアンブロクサン由来の鉱物質が賛否を呼ぶこともあり、極端な賛美と批判が共存する稀有なメガヒットです。

それでもベルガモット‐アンブロクサン軸の鮮烈さを保ったまま、スパイスやバニラで濃度ごとに性格を変える設計が、新規層を呼び込み続ける要因になっています。