サンタ・マリア・ノヴェッラ
サンタ・マリア・ノヴェッラは、1221年にドミニコ会修道士がフィレンツェで開いた薬局に端を発し、ユニセックスで使えるクラシカルな「オーデコロン」様式を現代に伝える老舗メゾンです。伝統の薬草調合法と柑橘・樹脂・花弁を重ねた重層的なブレンドは、軽やかな拡散と長い余韻を併せ持ち、「修道院の薬草庫を思わせる静かな芳香」と欧米評論家から高く評価されています。
代表作と香調ハイライト
- アックア・デッラ・レジーナ(1533):イタリア産ベルガモットを皮切りに、ネロリ、ローズマリー、ラベンダーが清涼感を添える王妃由来のシトラス・ハーバルです。
- ザクロ(1965):シトラスとスパイスの序章から、バラとイランイランが溶けるパウダリー・ポメグラネートへ。オークモスとムスクがアンティーク調の余韻を残します。
- ポプリ(1981):ベルガモット、ローレル、ラベンダーにクローブやパチョリが混ざり、トスカーナの乾いた丘を想起させるアロマティック・スパイシー。
- トバッコ トスカーノ(2008):点火した葉巻の煙にバニラとレザーが重なり、蜂蜜の甘さが揺らぐスモーキー・タバコ。軽快さと奥行きが両立するのが特徴です。
- アンブラ(2024):ラブダナムとベンゾインを中心に、シトラスの火花が立つ温かなアンバー。歴史を語る重厚な樹脂が肌の温度で丸みを帯びます。
サンタ・マリア・ノヴェッラらしさと評価
これらの香りは、トップで鮮烈な柑橘やハーブを提示し、中盤以降は樹脂・ムスク・苔を用いて静かに沈み込む構造です。修道院由来のハーバル処方がもたらすクリーンな苦味と、年代物の木箱に似たパウダリーな陰影が共存するため、欧米の愛好家からは「ナチュラルさと古典的エレガンスの理想的な折衷」と称されています。