キリアン パリ

キリアン パリは、フレンチ・ラグジュアリーの家系に生まれたキリアン・ヘネシーが2007年に創設した香水メゾンで、夜の社交と上質リカーに着想した濃密かつ妖艶なブレンドで知られます。

代表作と香調ハイライト

  • ラブ ドント ビー シャイ:マシュマロとオレンジブロッサムがとろけ合い、綿あめのような甘さが肌を包むフローラル・グルマン。リアーナ愛用の逸話で一躍有名になりました。
  • バック トゥ ブラック:白蜂蜜とタバコ葉、バニラが重なり、スモーキーな煙の奥に果実の甘さが潜むオリエンタル・アンバー。濃密なのに角が取れた上品さが光ります。
  • ブラック ファントム メメント モリ:マルティニーク産ラムと深煎りコーヒー、ダークチョコレートが渦巻く苦甘いグルマン・ウッディ。“海賊の夜明け”を描いた物語性も人気です。
  • グッド ガール ゴーン バッド:オスマンサスとチューベローズが織り成す白い花束にアプリコットの甘みが漂い、無垢と背徳の両極を行き来する大胆なフローラル。
  • ローリング イン ラブ:アーモンドミルクとアイリスがクリーミーに広がり、ムスクが“素肌に羽織るカシミア”のような柔らかさを添えるソフト・グルマン。
  • エンジェルズ シェア:コニャック、シナモン、トンカが温かい琥珀色を描き、「樽から蒸発する天使の分け前」を香りで再現したホリデーシーズンの定番。

キリアンらしさと評価

キリアンの作品は、トップで糖度やアルコールの艶を強く打ち出し、ベースにアンバーグリス調ムスクやダークウッドを厚く敷くことで、体温とともにとろける深い余韻を生み出します。ラッカー仕上げのリユース可能なボトルや「香りは誘惑の鎧」というブランド哲学も相まって、“ナイトアウトに最適な官能香”と高く評価される一方、強い甘さと持続力には賛否が分かれることも指摘されています。