ゲラン

ゲランは1828年創業の老舗メゾンで、ベルガモット・トンカ・バニラ・アイリスを重ねた“ゲルリナーデ”という自家製アコードを軸に五世代にわたり香りを紡いできました 。クラシカルな東洋調から現代的なラベンダー・グルマンまで、素材を重層的に響かせる職人技が欧米の評論家から「詩のように奥行きがある」と讃えられています。

代表作と香調ハイライト

  • シャリマー:ベルガモットの火花とアイリスを包むスモーキーなバニラが溶け合い、“甘い革と煙”でオリエンタルの金字塔を打ち立てました。
  • ミツコ:桃の甘さとベルガモットが導入部を彩り、オークモスとベチバーの湿った苔が余韻を引き締める、知的なシプレの象徴です
  • アビルージュ:レモンとオレンジの端正なトップにレザーとスパイス、パウダリックなバニラが重なる“紳士の赤い乗馬服”を思わせる東洋調フゼアです。
  • モン ゲラン:プロヴァンス産ラベンダーとタヒチ産バニラをサンダルウッドで包み、“抱擁のように穏やか”なフローラル・グルマンとして新世代の定番になりました。
  • ラ プティット ローブ ノワール:ブラックチェリーとラズベリーの甘酸っぱさに紅茶とパチョリが潜む“可憐なのにダーク”なガーメント系グルマンです。
  • パンプルリューヌ(アクア アレゴリア):グレープフルーツとカシスの光をパチョリで引き締めるジューシー・シトラスで、庭園散歩のような軽やかさを体現します。
  • ラール エ ラ マティエール(コレクション):「素材そのものを芸術に」を掲げ、ウード・ローズ・トンカなど単一素材を大胆に照射し、ハイエンド層から支持を集めています。

ゲランらしさと評価

ゲランの香りは、トップで鮮烈なシトラスや果実を提示しつつ、ベースに樹脂・ムスク・バニラを重ね“呼吸するように移ろう余韻”を演出します。伝統のゲルリナードに加え、現代調香師ティエリー・ワッサーが採る持続可能な原料調達も評価され、「クラシックと革新を両立する稀有なメゾン」と評されています。甘さや濃度を巧みにコントロールしたラインナップは、日常使いから夜の装いまで幅広く対応しながら、常にエレガンスを失わない点がゲランの最大の魅力と言えるでしょう。