ゲランベチバー

「ベチバー (Vetiver)」は、ゲランが挑んだ“土の息吹と夜明けの光”を象徴するメンズフレグランスです(1961年に作られ、2000年に再発売)。オレンジやベルガモット、レモンなど柑橘のきりりとした立ち上がりに、タバコやナツメグ、ペッパーといったスパイスが絶妙なアクセントを与え、やがてベチバーやトンカビーンが奥行きある落ち着きをもたらしていきます。その軽快かつドライな渋みは、まるで朝露に濡れた大地が陽光に照らされていくようなイメージを喚起し、「シェービングフォームを想起させる清潔感」や「端正な大人の男性らしさ」が長年愛されてきた理由といえるでしょう。一方でクセの少ないフレッシュウッディな構成は、ウッディ香を好む女性にも選ばれる懐深い名作として語り継がれています。
香りの構成
- トップノート
- オレンジ、ベルガモット、レモン、タバコ、ナツメグ、ネロリ、コリアンダー、マンダリンオレンジ:爽やかに弾ける柑橘系の明るさに、タバコとナツメグが潜むことで“甘すぎない深み”をスタートから予感させます。肌質や体温によってはトップの鋭いグリーン感が「ドライな芝生」や「カットしたばかりの草」を連想させることもあり、その自然味を好むファンが多い一方、「初めはツンと感じる」という意見も散見されます。
- ミドルノート
- ベチバー、ペッパー、カーネーション、セージ、サンダルウッド、オリスルート:柑橘が徐々に落ち着いた後、いよいよメインのベチバーが際立ち始めます。青く土っぽいベチバーと、ペッパーやセージのスパイシー&ハーバルな要素が混ざり合って、クラシカルな大人の男性像を思わせるタッチに。口コミではこの段階で「昔ながらの床屋」を思い出すという声や「石鹸的な清潔感を強く感じる」との評価も多く、なかには「スーツや正装シーンにも似合う凛とした印象」だとする意見が見られます。一方で草や土を連想する匂いが苦手な場合、ここで少し“渋さ”が強いと感じることも。
- ベースノート
- ベチバー、オークモス、レザー、ミルラ、シベット、トンカビーン、アンバー:ラストはベチバーの大地感をしっかりと残しつつ、トンカビーンやアンバーがやわらかな甘さと温もりを添えます。古いヴィンテージ版では、レザーやシベットのアニマリックな濃さがより顕著だったとも言われ、近年の製品は「全体的にシトラスの鮮やかさが増し、レザーの要素は控えめになった」という印象を持つユーザーも。しかし共通して、甘さの主張は穏やかでベチバー主体の骨格は崩れておらず、「どの時代のボトルでもあの独特な大地感や、タバコやスパイスの苦みが香る」とされることが大半です。
おすすめの季節と時間帯
春 夏 秋 冬
日中 夜
男性向け、女性向け
男性 女性
ベチバーを中心に据えた“メンズ香水の王道”の一角として長く愛される存在。爽やかさに加えてスパイシー&ドライな味わいが、男らしさや渋みを強調します。アーノルド・シュワルツェネッガーやポール・マッカートニーが着用していたという話も有名で、海外フォーラムでは「ダンディズムの象徴」として語られることも。ウッディ・スパイシー系が好みであれば充分トライできる香り。柑橘の軽快さがあるため「草の匂いが好き」「苦い土っぽさに魅力を感じる」女性にも選ばれています。
属性
フレグランスホイールとは?分類
- ウッディ系・・・ウッド
- フレッシュ系・・・シトラス
名前の通りベチバーが主役で、樹木や土の香りにフォーカス。トップに広がる柑橘類が全体を爽やかに牽引。
補足分類(18の属性からの分類)
- アロマティック
- ウッディ
- シトラス
- スパイシー
ハーブやスパイスのアクセントが見え隠れし、すっきりとした清涼感をサポート(アロマティック)。名前の通りベチバーをメインに、ウッディな余韻が続く(ウッディ)。トップの軽快な柑橘が顕著(シトラス)。ナツメグやペッパー、かすかなタバコがドライでビターなニュアンスを付与(スパイシー)。
持続時間
オードトワレ
- 香料の濃度・・・約5~8%
- 持続時間・・・約3~4時間
一部ではパウダリーにも感じる甘やかな余韻が数時間持続し、「昼過ぎでもふわりと香った」または「自分では気づかないが周りから褒められた」など、残香に関する好評価もあります。逆に「あっという間に消えた」とする例もあり、体質や使用環境に左右されやすい点には留意が必要です。
ベチバーの香りが似合うイメージ・人物

英国紳士スタイルが似合う「老舗テーラー」の男性店主
- 50代。サヴィル・ロウのような老舗テーラーで、スーツの仕立てを行う。
- 自分自身も仕立てたスリーピースを着こなし、顧客にクラシカルな上品さを提供する。
- 若い頃からベチバー系フレグランスに惹かれており、ゲラン ベチバーは「大人の自分を体現する香り」として愛用。
都会的な「バーテンダー」の男性
- 30代後半。シックなバーでカクテルを振る舞い、お客の好みに応じたドリンクをサッと提案する。
- ダークカラーのスリムなシャツとベストをさらりと着こなし、落ち着いた声で会話をリード。
- スッキリとしながらもビターなニュアンスのある香りが、クラフトカクテルのイメージともリンクすると考え、ゲラン ベチバーを愛用。
「山岳ガイド」として働くワイルドな男性
- 40代。山でのキャンプやトレッキングを専門に、アウトドアツアーを企画。
- 早朝から行動し、まだ湿り気の残る土や草の匂いが好きで、自然の息吹を常に体感していたいタイプ。
- ベチバー特有の土っぽさと柑橘の清涼感が“朝の山の空気”に通じ、普段からまとう。
繊細な「クラシックギタリスト」の男性
- 40代。ステージ衣装はシンプルで、音色の美しさと技術を磨くことに全力を注ぐ。
- 楽器の木の香りや爪で弦を弾く感触にこだわり、芳醇ながら清潔感がある香りを探していた。
- ベチバーのウッディノートがギターの木材を連想させ、柑橘の明るさがステージの緊張を解くと実感。
「英国カントリーサイド」の洋館で働く執事
- 50代男性。貴族の館で来客対応や邸宅の管理を任され、常に礼儀正しく厳粛な雰囲気を纏う。
- 古い家屋のウッディ内装や庭の芝生を日々チェックし、ゲストをもてなすのが役目。
- 苦味あるベチバーやスパイス感が、ウールの制服や磨き上げた床などのイメージと重なり、職務に相応しいと感じている。
「ジェントルマン古書店」を営む男性
- 40代。レトロなコートと帽子を身につけ、アンティークの本を集めた小さな書店を運営。
- 書棚から漂う紙や革表紙のにおいと共に、居心地の良い空間をつくるのが信条。
- ベチバー特有の“大地と古い紙”を感じさせる香りが、古書の雰囲気に馴染むと考えている。
いずれの季節でも楽しめるオールラウンドさが特長。柑橘が軽快で夏に爽やかと評される一方、タバコやトンカビーンの温もりが冬の寒さにもよく溶け込むとされています。「仕事やオフィス用に最適」という声が多数。清潔感があり、香りが強く主張しすぎないため、周囲に好印象を与えやすいのが魅力。とはいえ夜につけても落ち着いた色気がにじむため、シーンを選ばず幅広く使用可能です。